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怖い話のまとめ

霊的なラジオノイズ

中学を卒業して、実家に帰ってきた。久しぶりの実家だ。ワケあって、親戚の家から通学していたから、2年ぶりぐらいかな?木造新築の三階建。

「この地域では最後の新築木造なんだぞ!」父は得意げに語る。駅裏の道路拡大に伴い、うちは立ち退きになり市から大金を得た。それをもとに建て替えたというわけだ。

「ふーん、薄っぺらい家だね。」そりゃそうだ、奥行き4mしかないからね。だから三階建なわけだけど。
「お前の部屋は二階だからね。」
「はーい。」さすが新築。と思ったけど、よく見たら柱や、階段の手すりにところどころ引っ掻いた傷がある。「?」疑問に思っていたら、元凶がやってきた。
シャンシャンシャン。軽快な足どりとともに、陽気な鈴の音を奏でやってきたのは
「とらッ!」うちの愛猫‘とら’。
「お前は新築なのに容赦ないなあ。」
当人、いや当猫か。知るもんかという顔でこちらを気にも留めず毛づくろい。


とらがうちにやってきたのは10年前。トラ猫だからとら。とても賢い顔をしてるくせにさみしがりな猫。新築は落ち着かなのか、人のいるところに来る。こっちは荷物の整理で忙しいのだが、すりってくる。結局その日、とらと戯れていたため、あまり荷物を整理できることなく、夜になった。
「さて、そろそろ寝ますか。」まだこの部屋には電球が取り付けてなく、暗くなったら作業などできない。なのでさっさと寝ることにした。
夜、物音がして、目が覚めた。


………ザ………ァ…
「なんだ?」とらが、ビニールで遊んでいる音かと思って気にしないことにした。
「さあ、二度寝二度寝。」そして、また眠りに落ちた。


…ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
…ガアアアアアアアアアアア、ギイイイイイイイイイ


あまりに音が大きくなって、また目が覚めてしまった。
だが、勘違いをしていた。
音が大きくなったんじゃない…音が近づいてきている!?ラジオのノイズのような音は止む気配がない。


「これってやばいやつなじゃ…」そんなことを思っていたら猛烈な眠気がやってきた。
「今寝たらまずい…」直観でしかないが、そう感じた。ただただ必死に寝ないようにこらえていた。そうすると、仰向けに寝転んでいた
自分の腹部に重みを感じた。


「え…と、とらか?」視線を送るとそこには猫ぐらいの大きさの影があった。
「お、おどかすなよ」影へ手を伸ばそうしたとき、
シャンシャンシャン。とらの鈴の音が部屋の外から近づいてき。
「鈴?…とらは腹の上にいるはずじゃ…」もっと早く気付くべきだった。
腹部の上にいる存在から、ラジオのノイズが漏れていることに。
音がさらに大きくなる。音と比例していくように、体が重くなる。意識も遠くなっていくのがわかる…
「…たすけて、とら」
振り絞った声。すると、鈴の音がおおきくなる!!
シャンシャンシャン。鈴の音とともに意識がクリアになる。ノイズが、影が、消えていく。


そして、「ごろろろろ」とらのノドの音を最後に眠りに落ちてしまった。
翌朝、目が覚めると、とらが腹部の上で寝ていた。


「昨日のは夢かな?お前、助けてくれた?」とらに問いかけててみた。すると一瞥されると部屋から出て行ってしまった。


不思議に思ってついていった。とらは、二階の自室の向かいにある押入れのまえで止まり、こちらを見るとまたどこかへ行ってしまった。


「なんかあるのか?」とりあえず、押入れをあけてみた。
「…!!」思わず息をのんだ。そこには、真っ黒いラジオがおいてあった。よくよく思い返してみると最初に音が聞こえてきた方向はこの押入れのほうだ。
「いやいや、ありえんでしょ。たまたまだって…。そうたまたま!ははははは」
気持ちを切り替えご飯にしようと、一階におりた。もうみんな起きていたみたいだ。


「お!おはよう!聞いてよ!」父が話したくて仕方ないといった感じで絡んできた。
「昨日夜中、とらが一階から二階に駆け上がっていってね、それはものすごい勢いじゃったんよ。ほんとまっしぐら!みせてやりたかったわw」


それを聞いたとき、夢でなかったことを理解し、そしてラジオを捨てる決意した。
とらへ借りができてしまったので、その日は高級缶詰をプレゼントした。「これからも頼むね。」とらはただ、短く「にゃ」と応えると、缶詰まっしぐらだった。