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焼夷弾が落とされたトンネルで聞こえた「熱いよ」という声

八十年代に体験した話なので、もう三十年以上も前の話です。

当時の私は高校生の男子で、住んでいたところは米軍の基地のある地方都市でした。
米軍の基地があるおかげで地方都市にしては開けた街でしたが、そこかしこにまだ戦前の建物が残っていたりと、アンバランスな感じがあったことを覚えています。通学路の途中、神社と公園が合体したような場所のすぐ近くにトンネルがあり、そこでは幽霊らしきものが出ると噂されていました。トンネル自体は短めで100メートル程度、明かりも設置されており、あまり不気味な雰囲気はなかったと記憶します。

日中なら交通量も多く、子供もすぐに歩いて通れる程度の距離です。ただトンネルを出たすぐ先にひなびたラブホテルがあったりと、妙に寂れた感じもありました。
そもそもそのトンネルは戦前からあったらしく、噂が出来たのは戦後だそうです。なんでも戦争中に爆撃があって、空襲で亡くなった人をそのトンネルに一時的に並べていたことがあったとか。トンネルに出てくる霊は、そのときに死んだ人だと言われていました。しかし実際に見たとかいう人はおらず、あくまでも噂程度で、幽霊に遭遇したという人はいませんでした。

そんなある日、確か夏休みだったと思いますが、夏の部活の練習が終ったとき、部活連中でそのトンネルに寄ってみようことになりました。自分を含めて部活の連中は幽霊など信じておらず、半分は近くのラブホテルを見物しにいくつもりでした。日が落ちてから話題のトンネルに到着。男子が五、六人もいると、薄暗い場所でも大して怖くない上に、入口近くの電柱にはライトもあり、あまり怖い雰囲気はありませんでした。

やっぱ幽霊なんかいないよ、などとみんなでわいわい喋りながらトンネルを歩いていると、誰かが不意に「あれ、なんか聞こえない?」と言いました。良く聞こえるようにと全員が黙り、辺りに耳をすませます。そうして一、二分過ぎ、みんなが沈黙に耐えきれないでいると、誰かが、「なんだ、何もねえよ」と言った途端のことでした。かすれた声で、「……熱いよ……」と声が。

みんなもはっきり聞こえたらしく、表情を固まらせ、あたりを見渡しました。
すると今度ははっきりと、「暑い!」と野太い声がトンネルに響きました。途端にみんなはダッシュで駆け出し、その場を駆け出して逃げました。

後日、郷土史に詳しい先生に聞いてみたところ、戦時中に市街地に焼夷弾が落とされたのは事実でした。しかし、本当にトンネルに死体を並べていたのかはわかりませんでした。